【少年野球審判講座】第5回「魔の2メートル」

「魔の2メートル」

前々回、前回と球審の立ち位置や心構え、投球判定の基本などを書きましたが、今回は仕上げとなるその他の難プレーの裁き方についてです。

まずは表題について「?」と思った方も多いでしょう。

これは打者と球審の間の距離です。

このわずか2メートルほどの空間の中でとんでもないトラブルが多発するのです。

ですから我々はこう呼んでいました。

ここで起こるのはハーフスイングを筆頭にデッドボールかファウルか、打撃妨害か、守備妨害か走塁妨害か、はたまたナッシング(成り行き)か等々、思いつくだけでも一冊の本になるほどのアクシデントが発生します。

そこを沈着冷静に裁くことができるかどうか、仕切る力の優劣が如実に現れるのです。

決して目をつぶらない

ここで一番大切なのは決して目をつぶらないこと。

プロの捕手でもミートの瞬間には目をつぶっていることが多いのですが、審判はとにかく見なければ仕事になりません。

その瞬間のシーンが曖昧でボンヤリとしていたならばとても自信をもってコールはできないものです。

そのために我々は打撃ケージの中に入って打者の四隅のストライクゾーンの確認をすると同時に、決して目をつぶらぬ練習にも励みました。

そのコツはホームプレートに来た瞬間のボールの芯を見るつもりで、グッと目に力を入れることです。

と同時に息を止め、腹筋を締める意識で投球を引き付けてください。

少年野球のスピードならばそれほどの恐怖感はないはずです。

情報は映像だけではない

それでも時には目をつぶってしまうこともありますが、実は判定のための情報は「見る」だけではありません。

例えば「音」、あるいは「様子」。

打者付近に来た投球が打者の陰に隠れてしまい見えなかった…。

その時にボテボテのゴロになったとしましょう。

考えられるケースは4つもあります。

まずはバットの根元やグリップに当たりフェアゾーンに転がったならばフェアですし、ファウルゾーンならばファウルです。

打者の手に当たっていればもちろん死球。

しかし手に当たっていてもスイングやバントをしていれば空振りとなりボールデッド。

手や体に当たれば鈍い音がしますし、バットならば乾いた音がします。

またいかに軟式でも当たれば痛いですし、打者からはその様子がうかがえます。

ちなみに手とバットと両方に当たれば死球です。

必ずや投球はバットを握っている手に先に当たるからです。

また足元に転がった打球が足に当たったのか否か、その見極めも難しいのですが、本能的に足に当たっていれば立ち止まるものです。

このように「音」や「様子」といった2次情報も正解を導き出すために非常に重要なのです。

ナッシング

他によくあるのが送りバントの時の打者走者と捕手の接触。

野球の原則は守備優先であり、走者は必ずや守備者を避けて走らなければなりません。

ただこのケースだけは特別で、接触があったとしてもそれが故意でなければナッシング(成り行き)となります。

意外に知られていないのが、本塁と1塁を結ぶラインの後方に3フットレーンがあること。

1塁手が送球を受ける際に邪魔にならぬよう、打者走者は必ずやこのレーン内を走らなければなりません。

このレーンの外で送球に当たったならば、たとえ故意でなくとも自動的にアウトとなります。

ですから球審はその線上に立ち、打者が走っていた位置をしっかりと見る必要があります。

ハーフスイング

ハーフスイングの見極めのコツは3つ。

①バットと投球に接点があったか②バットをコントロールできていたか③投球を避けたのではなく、打ちに行ったのか。

実は人間の目は最後の振り戻した場面だけが強く残り、振り出したバットの最先端を見逃しがちなのです。

カメラの目はその瞬間を見逃しませんから、「ん?」と迷ったようなケースはほとんどが振っています。

よって迷ったならば勇気をもって「スイング!」とコールしましょう。

 

 

この記事を書いた人山﨑 夏生山﨑 夏生
1955年7月2日、新潟県上越市生まれ。幼少期から野球が大好きで、プロ野球選手を目指すも、実力を悟り断念。79年に北海道大学文学部国文科卒業後は、プロ野球担当記者になろうと、日刊スポーツ新聞社に入社。しかし、野球現場への夢を諦めきれずに一転、同社を退社して82年にパシフィック野球連盟と審判員契約を締結する。84年、一軍戦に右翼線審として初出場(西武対南海)。同年に、Jr・オールスター戦に出場(以後3年連続出場)すると、86年イースタン・リーグ優秀審判員賞受賞した。88年、一軍戦で初球審(ロッテ対南海)すると翌年、一軍戦レギュラーメンバーに昇格。フロリダのジム・エバンス審判学校(フロリダ)への派遣留学、オールスター戦出場などの経験を積み、99年7月に一軍公式戦1000試合出場達成。10年10月に千葉マリンスタジアム最終戦(ロッテ対オリックス)で現役引退するまでに、一軍公式戦1451試合に出場した。その間、歴代1位、計17回の退場宣告を行った審判として知られる。引退後は日本野球機構(NPB)と審判技術指導員として契約。18年に同機構を退職し、現在は「審判応援団長」として審判の権威向上と健全なる野球発展のために講演・執筆活動を行っている。

 

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