科学的打撃指導法



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前回の記事で小学生からプロ野球選手まで、

あらゆる年代の選手を対象に研究に研究を重ねて完成した、     小学生のうちにマスターしておくべきバッティング技術と その技術を習得できる「科学的バッティング練習ドリル」があるとお伝えしました。     今回は、その指導理論について川村さんにインタビューしてきた内容を 研究結果の資料と共にご紹介いたします。     科学的バッティング練習ドリルも 動画にて公開していますので、そちらもぜひご覧ください。   img_02  

1、プロ野球選手になるために

     小学生~大学生の間で習得すべきこと

    沢村:こんにちは。お父さんのための野球教室事務局の沢村です。 今日は、筑波大学の野球部の川村さんにインタビューを行いたいと思います。 では、川村さん、よろしくお願いいたします。   川村さん:よろしくお願いいたします。   沢村:川村さんは、野球の動作解析を専門的に研究されているということなんですが。   川村さん:はい、やっております。   沢村:その動作解析の視点から見て、プロ野球をゴールとするならば、 プロ野球選手になるために、小学校、中学校、高校、大学というステップがあると思うんですけど、 大学から順を追って、プロ野球選手になるためにはどんなことを意識して練習することが 理想なんでしょうか。   川村さん:まず、バッティングに関して言いますと、やはりプロ野球選手を目標とした場合に、 特に大学生あたりでは、やはり配球を読んで打つという、相手が何を考えているか、 というようなことをしっかりとらえながら打つということが、 まず必要になってくるということですね。   そのためには、いろんな技術が必要になってきて、 例えば、コースに応じて打ったり、変化球に対応ができたり、 そういうことができてくるわけです。 できなければいけないわけですけれども、それは高校時代にいろいろなことが成長するというのが、 私たちの研究の中ではわかっているということです。   打撃技術習得時期 __________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________   高校のときというのが、まずやはり、筋力が非常に伸びる時期ですので、 体重の増加に伴って、スイングのスピードが向上していくということですね。 それに伴って、スイングの力強さが出てきたときに、 例えば、今まで引っ張りのバッティングしかできなかった選手が、 逆方向にも強い打球が打てるというようなことができます。   それに伴って、例えば、ヒットエンドランとか、そういう作戦に応じて、 ゴロとか、フライを打ち分けるというのも、多くの人が高校生の時期に 身に付けるというようなことが分かります。   全体的なことを見ると、バッティングに関しては 高校生の時期に伸びるということが大きいですけれども、 その前に、中学生という時期があると思うんですが、 中学生の時期にもちろんそういった技術が身に付けばいいんですけれども、 中学生の時期というのは、やはりそのスイングをしっかりさせる。   基本となるスイングをしっかり身に付けるということになっていまして、 そのしっかりとしたスイングの基本というのは、 例えば、ボールに対して、しっかりとバットが真っすぐと当たるといいますか、 われわれの世界だと直衝突と呼んでいるんですけれども、 しっかりととらえて、ミートをするということを中学生の時代では だんだんと覚えていくということになりますので、 そこをしっかりと身に付けておいていただければというふうに思います。   良い打撃とは __________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________   沢村:今、大学から中学生まで、お話ししていただいたんですけれども、 その今の流れから行くと、さらに逆算して、 小学校のときには、どのようなことを意識して練習すべきなのでしょうか。   川村さん:そうですね。そうなりますと、小学生の時期というのは、 本当にバッティングの基礎というところになっていきますので、 まずはストライクゾーンがしっかり分かってくるということがすごく大事です。   私たちが大学生や大人になって野球を続けている人たちにアンケートを取ると、 やはり小学校のときに何を身に付けたかと聞けば、一番多いのは やはりストライクゾーンをしっかり把握するということが大事だというようなことを 回答される人が非常に多かったですね。 そうすると、ストライクゾーンというのは、ホームベース上にあるわけですけれども、 非常に感覚的な部分なので、やはりその小学校のうちに、感覚的なところを 身に付けるという意味では、ボールをよく見て、選球するということですね。   そういうことが1つ大事になってきますし、またはそれに伴って、 しっかりとスイングを始めていくということになってきますので、 私たちの段階としては、腰の回転といいましょうか、 体の回転でボールをとらえることから始まって、その後、体重の移動が伴っていくと。 そういうことで、だんだんと、最初はもう本当に当てるようなバッティングなのが、 徐々に大人のバッティングに近づいていくということが言えると思います。 そういうような時期が小学生のときに行えたらいいというふうに考えています。   沢村:まず選球眼というか、ボールの見極めを小学生のうちに しっかりと感覚のところに染み込ませる必要があるということですね。 その選球眼を鍛えるためには、具体的にはどのようなトレーニングをすれば良いのでしょうか。   川村さん:基本的に、よくプロ野球の選手も言うと思うんですけれども、 ボールを線でとらえるという言い方をすると思います。 ピッチャーがリリースをするところから、バッターが打つところまでですね。   それが、これもイメージですけれども、線のようにとらえながら打っていくということができれば、 例えば、それが変化球に、今度は上のカテゴリーになって変わっていったときにも、 その線が描けることによって、バッティングが向上するということにつながってきますので、 ただ単純に何かこう、ゾーンを覚えるというだけじゃなくて、 ピッチャーのリリースから、この線をイメージしながら、 ストライクゾーンを把握していくということが必要になってきます。   沢村:そういうことを身に付けるための、具体的なドリル等もあるということですね。   川村さん:はい、そうです。それは私たちのところでは、 セレクトラインと呼んでいるドリルがあるんですが、 塩ビ管の小さいものにボールをちょっと付けまして、その中にまた、ひもを通しています。 その片方はピッチャーが投げるぐらいの高さに置いて、 もう片方は、キャッチャーのミット、もしくはグローブでもいいんですけども、 受け取る側のところに付けます。   大体長さとしては10メートルぐらいのところから、そのボールを投げてもらって、 キャッチャー役の子はいろんなところに構えてもらうという。 それによって、ストライクゾーンを線でとらえるということをドリルとしてやってみるということは、 大学生でもやるんですけれども、小学生のうちからやったらいいんではないかなと思います。   沢村:ストライクゾーンの選別は早いうちにできたほうがいいですもんね。   川村さん:そうですね。そうすると、いろんなボールに対しての対応の基礎ができてくるという、 そういうことが言えると思います。   沢村:分かりました。

2、スイング軌道と理想のインパクトについて

  沢村:先ほど、選球とあと「スイング」という言葉も出てきたと思うんですけど、 スイングに関しては、ダウンスイング、レベルスイング、アッパースイングと、 大きく分けると、この3つかなと思うんですけども、 動作解析の視点から行くと、スイングの動作的には、どのような形が理想なんですか。   川村さん:そうですね。いろんな打ち方、ダウンスイングその他、あると思うんですけれども、 やはり基本的にはレベルスイングですね。 しかも、そのレベルスイングというのは、どこからレベルなのかということをお話しすれば、 本当にインパクトの手前10センチぐらいから、 そしてまたインパクト後、10センチぐらいですね。 その程度で構いませんので、レベルになっているというのが非常に大事になってきます。   それがどうして大事かと言いますと、結局、先ほどちょっとお話ししましたけれども、 ボールをきちんとバットとミートさせる。 バットも丸い形状で、ボールも丸いですけれども、 そのわずかなズレが力のロスにつながってしまいますので、 その中心同士をぶつけていくというようなバッティングをしていくということですね。   角度 __________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________   われわれ社会人選手と大学生選手、ちょっと体格は似かよっているんですけれども、 少しこう、レベルが違う選手を比べていくと、やはり社会人の選手のほうが、 真っすぐ進んでいる時間があって、同じようなバットスイングの速度なんですけれども、 放たれる打球の速度は、社会人選手のほうが、かなり上になってしまうと、 そういう結果が出ていますね。 沢村:そうなんですか。     スイング速度と打球速度__________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________   川村さん:ということは、そのスイングの速度ももちろん大切なんですけれども、 それ以上に、どのようにボールに当てているのか。 しっかりと中心と中心を合わせるような打撃をするほうが、この打球速度は大きい。 ということになりますので、 そういう意味では、そういうレベルのスイングが小さいころから身に付いていると、 より効果的なバッティングができるのではないかなというふうに思います。   沢村:それをゆくゆく、そのスイングを身に付けるためにも、 小学生のために、いろいろとやっておくべきこと、ドリルがあるということですね。   川村さん:そうですね。例えば、これ、本当に非常に簡単な基礎的なものですけれども、 やはり腰の高さぐらいに、ひもといいましょうか、ビニールのひもを張って、 その上をちゃんとインパクトの付近をなぞるように、 真っすぐ進むようにやるというのは、大人の野球選手だったら、 1回やったことがあるかもしれないけれども、そういうのを小学生のうちから 身に付けておけるように、何度も練習すると。   結局、小学生のうちはなかなか体格とかそういうもので、 スイングの速度というのは、もう体の大きさで決まってしまうところもありますので、 それよりも、やはりそういう感覚的な技術ですね。 今で言ったら、こうインパクトのあたりで、レベルに振れるかどうか。 そういう感覚的なところをこう練習していくというほうがいいというふうに思います。   沢村:でも、感覚って、やっぱり伝えるのとか、 あとは子どもたちに理解させるのが難しいですけど、 そういったところは、やっぱりもうその強制的にといったらあれですけど、 ドリルの中でそうなるように、ドリル内容を考えていらっしゃると。   川村さん:そうですね。私たちも実は少年野球教室というのを 継続してずっとやっているんですけれども、 やはり子どもたちに言葉で説明するって、非常に難しいところがあります。   そうしますと、やはり指導の方法としては、 何らかのドリル形式の、その部分を取り出してきて、 そこに集中させて行わせるといったほうが、より効果の高い練習ができる。 というふうに思います。 どちらかというと、ドリルを用いたやり方をしています。   沢村:そうですね。理解力も、やっぱり大人と子どもって違いますもんね。   川村さん:そうですね、はい。   沢村:あと、ちらっと聞いたことがあるんですけど、 その世界大会の打撃結果みたいなのがあって、 それには先ほどのミートの話と、関連付けるところがあると聞いたんですけれど、 世界で比較すると、日本の場合は、どんな傾向になるんですか。   川村さん:やはり、世界と比べたときに、一番差が出やすいというのは、 先ほど、なるべく中心と中心をぶつけるような打ち方がいいと言いましたけれども、 日本人はどちらかというと、やはりダウンスイングの傾向が非常に強くて、 いわゆる「こすってしまうような打撃」といいますけれども、 回転がかかり過ぎてしまうような、そういう打撃になっているというところがあります。   一方、キューバですね。野球がすごく進んでいると言われるキューバのバッターは、 やはりその打球に対して非常に真っすぐ、レベルにバットが入っていくんですね。 非常にライナー性の打球が多いというのが特徴にあります。   世界大会結果   __________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________   その分、やはりライナー性の打球が多いということは、 非常に打球の速度も大きいものが得られるということになりますので、 そういう意味では、キューバの選手を見習うところっていうのはあるのかなというふうに思っております。   沢村:しっかり中心と中心をとらえたときが一番打球速度が速いということですね。 研究結果から見ると。   川村さん:はい、そのとおりです。   沢村:じゃあ、少し角度が付けば、 それがホームランになるけれどもという感じですかね。     川村さん:はい、そうですね。これは、計算上ということになりますけれども、 よくバックスピンをかけたほうが打球が飛ぶんじゃないかというのは議論になるんですが、   やはりそれは非常に難しい技術なのと、なかなか非常に意識しながら、 もうわずか2ミリから4ミリぐらいの差になってきますので、非常に難しい技術ではあります。   それが存在するかどうかということも、実は今、研究者の中でも結構議論がありまして、 実際、そんなにこすらなくても、回転をかけなくても、打球はとぶんじゃないか。 というような議論があるんですけれども、小学生のうち、もしくはやはり大人になるまでには、 それ以前の、その前の段階としてしっかりとミートする。   今言ったように、中心と中心を合わせて打球速度を得るような打ち方をしたほうが、 その後、例えば、意識をしてフライを上げていくような、 そういう打撃にも発展しやすいというふうに思いますので、 まずはその中心と中心をしっかりぶつけるようなバッティングを 身に付けるといったほうが、段階としてはベターだというふうに思っています。   沢村:ということは、つまりレベルスイングを意識させたスイングを小学生のうちは まず身に付けたほうがいいと。   川村さん:はい、そのように思います。

3、体重移動について

  沢村:あと、体重移動のお話が先ほど少し出てきたと思うんですけれども、 体重移動も、やはり小学生のうちにしっかり身に付けておいたほうがいいんですか。   川村さん:そうですね。この体重移動に関して言うと、 やはり小学生でも5~6年生ぐらいの段階が一番いいのかなというふうには思っているんですが、 非常に難しいのは、例えば、右バッターで言えば、右足から左足に体重を移しながら、 しかも上半身は非常に早く動くといいましょうか、 バットのスイングに負けないように動くわけですけれども、   そのときに、バランスを取るのが非常に難しいんですね。 体重を移動しながらバランスを取っていくというのは、非常に難しいんですが、 そのときにポイントとなるのは、中心の軸に近いところの筋肉、 特に、下半身で言えば、内転筋とか、そういう内側のほうの筋肉というのが、 実は非常に大切になってきます。   特に、その内転筋が大事になってくるのは、 本当にスイング速度が速くなってくる大人になったときなんですけれども、 そのバランスを得るという意味では、 小学生のうちからやっておいたほうが絶対にいいですので、 不安定になるようなところでもいいですから、 ちょっと立たせて、その上で、バットを振ったりすると、勝手にといいましょうか、 自動的にこう、体の内側で支えようとする力が働きますので、 そういうようなドリルをすると、また次の段階に行ったときに非常に役に立つかなと思います。   沢村:分かりました。

4、小学生の時期の筋力トレーニングについて

  沢村:あと、今、筋力というキーワードも出てきたんですけど、よく小学生のうちは、 あんまり筋力は付けないほうがいいんじゃないかという話もあると思うんですけど、 そのあたりはどうですか。   川村さん:そうですね、もちろん筋力はないよりは、 あったほうがいいというのは間違いないんですが、 無理して付ける必要はないということです。   例えば、その体格に見合ったと言いましょうか、やはり小学生のうちというのは、 成長に非常に差があるので、簡単に言えば、 小学校6年生でも130センチぐらいの子もいれば、 大きい子だと、170センチぐらいの子もいるというふうに思うんですけれども、 その体格に見合った筋力さえ付いていれば、無理に、例えば、130センチの子が ものすごく筋力を付けるという必要は全くない。   むしろ、そういうのが動きを阻害してしまう可能性も出てきますので、 確かに、そのときにスイングの速度というのは、 非常に大きくはならないというふうには思うんですけれども、その体格に見合った筋力、 例えば、自分の体重をしっかり支えられるような、例えば、よくやりますけれども、 腕立て伏せであるとか、そういった自分の体重を使ったような体力トレーニングであれば、 やったほうがいいというふうに思うんですが、そんな無理して器具を使ったりとか、 何か特殊なものをするということは、大人になってからで十分だというふうに思います。   沢村:なるほど、分かりました。

5、技術とバランス感覚

  沢村:では、今までのお話を少しまとめると、小学生のうちには、 プロ野球選手とか、ぐんぐんステップアップしていく中で、うまくなっていくためには、 小学生のうちに筋力とかうんぬん関係なく、体格も違うけれども、 バランスよくしっかり振れるスイング。   川村さん:そうですね、はい。   沢村:これを身に付ける必要があると。   川村さん:バランスですね。最 終的に、バランスというのは非常に大事なキーワードになってくるのは、 このバランスが悪くなれば、今までお話しした、例えば、ボールを見るときに、 目線が上下動しなかったりとか、そういうことにつながりますし、   あと、先ほどレベルに振るという話をしたと思うんですけれども、レベルに振るときも、 やはり体がぶれてしまうと、その軌道自体もずれてしまうというふうになりますので、 例えば、簡単なことを言えば、野球のバットティング、ピッチング、ともに、 片足から片足へ体重移動していきますので、   その中で、目線であるとか、体がぶれないようにしているというのは、 すごくバランスの感覚としては、小さいころから身に付けられますし、 身に付けるべきものになってきますので、 バットのスイングをしたりすることも非常に大切なんですけれども、 何か例えば、バランスを崩しても、バランスを保つような、 何かトレーニングをやったりとか、そういったものは 非常に小学生のうちにやってほしいことの1つになります。   沢村:分かりました。 今日は試合前に、時間をつくっていただいてありがとうございました。   川村さん:いえ、とんでもないです。こちらこそ。   沢村:以上で、川村さんのインタビューを終了します。     ■小学生のうちにやっておくべき、   科学的バッティング練習ドリルの一例   理想のスイング軌道を身に付けるための練習ドリル ●ラインスイング   バットの適正重量を知る方法   プロ野球選手になるために小学生のうちにやっておくべき練習

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