【少年野球】ダルビッシュ選手が紹介した「ラリアット投げ」とは?
お父さんのための野球教室のブログをご覧の皆さんこんにちは!
京都市北区にあります、MORIピッチングラボ代表の森です。
今回も、野球のピッチングにおけるヒントやコツをお伝えします。
先日、ネットニュースである記事を見つけました。
【巨人・阿部二軍監督がダルビッシュ選手に対して「なぜ」の発信を要望した】
阿部監督とダルビッシュの選手の考えとは?
ダルビッシュ投手が自身のTwitterで紹介していた「ラリアット投げ」に対して、阿部二軍監督は
- なぜ、そのような投げ方をすすめるのか?
- そこに至るプロセスをもっと発信してほしい
と要望したという内容でした。
わたしも、ダルビッシュ選手の「ラリアット投げ」の動画を拝見しましたが、プロセスについてもちゃんと話されているのでは?と感じたのが正直なところです。
ただ、阿部二軍監督が伝えたかったことは、「もっとメカニクスな部分、理論的な部分について話してほしい」ということだったのではないかと思いました。
新しい練習方法を試すことでパフォーマンスが良くなることもあれば、悪くなることもあります。
そんなときに、理論的な部分が分かっていれば悪くなるリスクを減らすことができますので、そうした意味も込めての発言だったのではないかと思います。
わたし自身、「ラリアット投げ」について考えてみました。
- どのようなメカニクスで
- どのような変化を起こしたのか
ということを推測しましたので、今回はそのお話をさせていただきます。
目的とは?
ダルビッシュ選手は2019年まで、フォーシームがスライド(ジャイロ)回転する傾向にあった、とお話されていました。
その結果、回転効率が低下してしまい、ボールの伸びが不足していた、とのことです。
さて、どのように改善しようとしたのでしょうか?
いろいろなことを試したなかで、上手くいった方法が思いっきり、ぶん投げるようにしてみた。
この投げ方が、「ラリアット」をするときのようなイメージだったそうなのです。
※「ラリアット」とは → プロレス技の一つです。分からない方は検索してみてください。
小指から肘の内側にかけて、腕の内側の部分を投球方向に向けることが一般的ですが、ダルビッシュ選手は、親指の側面から腕の外側を投球方向に向けて投げるようにしたそうです。
そして、腕をしならせるのではなく、「腕を伸ばす」感覚で投げるようにしたそうです。
- 親指の側面から、腕の外側を投球方向に向けて投げるようにした
- 「腕を伸ばす」感覚で投げるようにした
この2つを意識することで、スライド(ジャイロ)回転を改善されたとのことです。
なぜ、スライド回転するのか?
スライド(ジャイロ)回転する選手には、特徴があります。
それは、遠心力優位で投げていることです。
遠心力優位だと、腕が「外へ、外へ」と遠回りして振り遅れます。
その結果、腕は投げたい方向よりも外側に向かっていくのですが、そのまま離すと、ボールも投球方向から外れてしまいます。
それをカバーするために、ボールの外側に指で壁を作ろうとします。
このまま投げると、ボールの回転はどうなるでしょうか?
ボールは、スライド(ジャイロ)回転になります。
どうすれば、改善できるのか?
つまり、スライド回転の改善のためには
- 腕が遠回りすること
- 振り遅れること
を改善する必要があります。
腕のしなりが大きくなることも、「振り遅れ」の要因にもなります。
腕のしなりを作っている
- 肩の外旋
- 前腕の回外
この2つの動きは、セットで起こります。
※しなりについては以前のブログで詳しくお話しています。
しなりを軽減するには?
ダルビッシュ選手の「ラリアット投げ」では、
- 腕の外回り
- しなり
をおさえるために、「前腕の回内」をしているのではないかと考えました。
「前腕の回内」の動きをすると、「肩の内旋」の動きがセットで起こります。
- 前腕の回内
- 肩の内旋
により、腕のしなりは抑えられるのです。
- 腕の外回り
- しなり
をおさえた結果、スライド(ジャイロ)回転が改善されるのです!
これが、「ラリアット投げ」のメカニクスの部分ではないかと私は思いました。
どんな選手におススメなのか?
「ラリアット投げ」は適す人もいれば、適さない人もいます。
腕のしなりが起こりすぎて、腕が振り遅れている人。
このような人は、試してみるといいのではないでしょうか?
反対に、もともとあまり腕のしなりが起こらない人は、「ラリアット投げ」をすることで余計にしなりを抑えてしまうことになるので注意です。
指導者とは?
指導者の「資質」とは?
わたしは、次のようなことで決まると考えています。
- どれだけ指導の引き出しを持っているか
- 「どの指導がこの選手には必要か」見極められる力
例えるならば、用意している薬の種類が少なければ、治せる病気が限られてしまうことと同じです。
また、たとえたくさん薬を持っていたとしても、その薬がどんな病気の人に適しているのか、ということを理解していなければ意味がありません。
薬は間違えて処方してしまうと副作用を起こすリスクがありますが、「指導」には大きな副作用は起こりにくいです。
ですので、まずはどんどん試してみて、その選手に合うかどうかを見極めるのが良いのではないかと思います。
合わないと思ったら、すぐにやめてしまえばいいのです。
一番危険なのが、「この指導は正しい」という指導者の思い込みから、その選手には合わない指導を続けてしまうことです。
選手が壊れたりつぶれてしまうことに、つながります。
指導内容について深く勉強し、理解したうえで指導していただきたいと思います。
また、選手へのヒヤリングやフィードバックについても欠かさずに行い、選手に寄り添った指導をしてあげてください。
ダルビッシュ選手の動画では決して、「これが正しい」というお話はしていません。
あくまでも、引き出しの一つとして取り組んでみるといいのではないのでしょうか。
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鹿児島県沖永良部島出身
鹿児島樟南高校で甲子園出場
京都市北区北野白梅町で、もり鍼灸整骨院を運営する傍ら、ピッチングラボを開設。
野球専門治療に始まり、ピッチングの指導を行う。
これまで全国3000人近くの選手や子供たちの指導に携わる。
ピッチングラボでは、野球で肩や肘を壊すことなく、長く野球を楽しんでもらうためのサポートをおこなっている。
MORIピッチングラボ代表
もり鍼灸整骨院 院長
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