【少年野球審判講座】第4回「投球判定の基本」



球審の投球判定

少年野球審判講座、講師の山崎夏生です。

今回はいよいよ球審の投球判定についてです。

これはプロで何十年もやった審判でも悩み続け、最終地点にたどり着けぬ難題です。

自分自身でも「今日は完ぺきだった」などと自信満々に言える試合などありません。

一つの目安としてプロの及第点は99点だと思っていました。

1試合で約300球を裁くのですから、自分でも「しまった!」と認識する判定を3球以内にとどめること。

これが目標でした。

圧倒的な「量」

まずゾーンを確立するには、なんといっても圧倒的な「量」の練習が必要です。

初期段階で技術を習得するための鉄則でしょう。

練習に「質」を求めるのははるか先のレベルに行ってからです。

現役時代に心がけていたのはキャンプから開幕までに1万球を見ること。

そしてシーズン中も毎日ブルペンや打撃ケージの中に入りに練習することでした。

とにかく愚直にひたむきにホームベースを見つめ、そこをよぎる投球を点ではなく線でとらえるよう心掛けてください。

するといつかは漠然とですが、ホームプレートの432ミリが目の中に入り込んでくるのです。

プロレベルですと早い人ならば5年くらいで習得できます。

私は自信をもってそれが認識できるまでに15年もかかりましたが、とにかく愚直にひたむきにやり続ければできる、それが職人の世界です。

ただ少年野球のお父さん審判にそんな練習量やレベルを求めるのは酷で無理な話。

もっと大らかに、そしてワイドにコールしてよいと思います。

基本的には打てる球ならばストライク、それが投手を育て、打者にも打つ積極性を与えます。

キッチリと見ようとするあまりベースの先端をかすったか否か、そんな尺度で見ればとんでもなく狭いゾーンとなり、四球連発の面白みのない試合になってしまうでしょう。

判定の一貫性

ここで重要なのは判定の一貫性です。

ここまではストライクだ、この線を越えたらボールだ、その信念を大切にしてください。

とかく選手の不満げな様子やベンチの監督からの大声で揺さぶられることもあるかもしれませんが、この強い姿勢あればこそ信頼され、試合をコントロールできるのです。

で、投球判定の大前提ですが、絶対に頭を動かさないこと。

必ず目で追ってください。これは「トラッキングアイ」(追跡眼)という技術です。頭を動かした状態では、目から入った情報が正しく脳に伝わりません。

例えば車の運転をする時、ほとんどの人は目だけを動かして周囲の安全を確認しているはずです。

頭を大きく動かしてサイドミラーを覗き込んだり、上を見上げて信号機も見ないはずです。

これと同じで、前からくる投球の一本線を眼球だけで追いかけてください。

そして捕球位置をしっかりと確認すること。球審は打者と違って打たなくていいのですから、ホームベースのはるか手前でストライクかボールかを決める必要はありません。

捕手になったつもりで、自分の胸で受け止める、そこまで引き付ければワンバウンドをストライク、あるいは真ん中に入ってくる大きな変化球をボールとコールするような大間違いは滅多にしないはずです。

大きな声で全選手に

そしてすべての審判のコールは最終判定で、これに従って試合が進行するのですから、とにかく大きな声で全選手に伝えること。

プロじゃないんだから間違えたっていいんです。

素人なのはお互い様ですから、堂々とやりぬくこと。

それはおどおどとした気弱なジャッジに勝るのです。

 

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この記事を書いた人山﨑 夏生山﨑 夏生
1955年7月2日、新潟県上越市生まれ。幼少期から野球が大好きで、プロ野球選手を目指すも、実力を悟り断念。79年に北海道大学文学部国文科卒業後は、プロ野球担当記者になろうと、日刊スポーツ新聞社に入社。しかし、野球現場への夢を諦めきれずに一転、同社を退社して82年にパシフィック野球連盟と審判員契約を締結する。84年、一軍戦に右翼線審として初出場(西武対南海)。同年に、Jr・オールスター戦に出場(以後3年連続出場)すると、86年イースタン・リーグ優秀審判員賞受賞した。88年、一軍戦で初球審(ロッテ対南海)すると翌年、一軍戦レギュラーメンバーに昇格。フロリダのジム・エバンス審判学校(フロリダ)への派遣留学、オールスター戦出場などの経験を積み、99年7月に一軍公式戦1000試合出場達成。10年10月に千葉マリンスタジアム最終戦(ロッテ対オリックス)で現役引退するまでに、一軍公式戦1451試合に出場した。その間、歴代1位、計17回の退場宣告を行った審判として知られる。引退後は日本野球機構(NPB)と審判技術指導員として契約。18年に同機構を退職し、現在は「審判応援団長」として審判の権威向上と健全なる野球発展のために講演・執筆活動を行っている。

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