【少年野球】ピッチング指導でよく使われる「軸足に残す」の本当の意味とは?



お父さんのための野球教室のブログをご覧の皆さんこんにちは!

京都市北区にあります、MORIピッチングラボ代表の森です。

今回も、野球のピッチングにおけるヒントやコツをお伝えします。

今回は、「軸足に残す」という言葉や練習の本質について考えていきたいと思います。

野球のピッチングの指導では、「軸足の使い方」がとても大切だと言われています。

そして、私自身もとても大切なポイントであると認識しています。

ただ、この軸足の使い方や軸足に乗せるという言葉やその練習方法を、間違って認識してしまったり練習してしまっているケースがすごく多いように感じております。

その代表例が以下の練習です。(良い練習です)

https://twitter.com/pitchertraining/status/1346069820593225728?s=21

この練習ですが、Twitterの投稿者様同様、私もすごく大切な練習だと考えています。

ところが、この練習をすると

  • 投球のバランスを崩してしまう
  • 球速やコントロールが悪くなる

そんなお話を耳にしました。

このことは、本当に残念に思います。

ただ、実際にうまくいかないケースがあるものまた事実です。

せっかくの良い練習でも、その動作の本質や練習の真の意図を理解しなければ、逆にパフォーマンスを落としてしまう可能性があるのです。

杉内俊哉コーチは、本当に素晴らしいことを選手に伝えていらっしゃいます。

ただ、映像だけをみて見様見真似で練習を行っても、その真意は伝わりにくいのかもしれません。

情報を得られやすくなった、現代の落とし穴のように感じます。

このような残念なことが起きないように、今回はこの練習から「軸足に残す」という言葉や練習の本質について私の考えをお話しさせていただきます。

練習の真意とは?

私も、これと同じような練習を指導しています。

具体的には、身長や能力に応じて、ボールを60〜100cmくらい踏み出し足側に置きます。(身長180cm以上でトップレベルの選手で100cm)

この練習と同じように軸足に体重を残しながら、踏み出し足でボールをタッチします。

この時に、決して地面に足をつけず、ボールを前足でタッチしたら、そのままワインドアップの姿勢まで足を戻します。

杉内俊哉コーチの練習も、踏み出し足をスライドさせて前足に体重をかけることができないので、ほとんど同じ練習になるでしょう。

ただし、「この形を作って投げる」と言っているわけではありません。

あくまでも、この練習の際に軸足を使っている感覚、具体的には

  • 大臀筋
  • 中殿筋
  • 内転筋
  • ハムストリングス

あたりの感覚を覚えてもらうためです。

先行研究によると、早期コッキングから後期コッキングにおいての軸足の筋電図では、大臀筋や内転筋、ハムストリングスなどの股関節伸筋群の活動が高いと報告されています。

ところが、

  • 体の開きが早い選手
  • 前足への体重移動が早い選手

は、大体その部分の感覚が乏しいです。(体の開きや前足への体重移動の早さの話は割愛します)

具体的には、コッキングの早期から膝の伸筋群である、大腿四頭筋の活動が高くなります。

大腿四頭筋の収縮は、運動連鎖により軸足側の股関節を伸展し(膝伸展に伴う股関節の伸展)、結果的に投球側への骨盤の回転を早くします。(骨盤の早い開き)

動画内で杉内俊哉コーチが「膝を使わないで」と指導されていますが、その理由はここにあると思います。(一流選手は感覚でそのことを理解しているからすごいですね)

この練習を繰り返し繰り返し何度も何度も行うことで(正しくできていないと意味がないが)、ハイパフォーマンスを出すための正しい体の使い方を覚えることができます。

一度自転車に乗れるとその感覚を忘れないのと同じくらい、無意識下に感覚が身につくと、投球動作でも無意識にその筋肉を使うようになります。

つまり、この練習は「こういう風に軸足に乗せながら投げろ」と言っているわけではなく、あくまで軸足感覚を高める練習の一つと言うわけです。

体重移動の中で再現する?

「自転車に乗れるとその感覚を忘れないのと同じくらい無意識下に感覚が身につくと、投球動作でも無意識にその筋肉を使う」と説明しましたが、この練習がうまくいくためのコツがあります。

それが、「体重移動(流れ)の中で再現する」と言うことです。

失敗する例としては、「軸足に乗せる→踏み出し足を出す→深く沈む→それから軸足で前に蹴り出す、、」と言ったように、一つ一つの動作が途切れてしまう場合です。

このようなやり方では、重たい体を重たい位置からわざわざ前方に移動しなければならないので、体重移動も不十分になり、またスピード感も出ません。

当然、パフォーマンスが落ちてしまうでしょう。

この練習自体がうまくできるようになれば、今度は流れの中で再現することを意識してください。

うまくできると結果的に

  • ステップ幅が広くなる
  • ステップ足が地面を踏む力が強くなる

ということに繋がります。

これは、軸足の使い方が向上することで、コッキング後期の体重移動が加速するからです。

強いボールを投げるためには、リリースの瞬間に力が最大になる必要があります。

いわば、リリースにかけてどんどんスピードが加速すると言うことです。

逆に言うと悪い体の使い方、大腿四頭筋優位で股関節が早期に伸展すると言うことは、その時点で加速度が最大になっていると言うことです。

となると、早期コッキングで最大の加速を迎えたあと、

  • 後期コッキング
  • 加速期
  • リリース

にかけて、減速してしまいます。(この減速を上半身で補うとそのうち肩肘を故障します)

ぜひ、「体重移動(流れ)の中で再現する」と言う意識も合わせて、練習に取り組んでいただければと思います。

軸足の失敗例

正しくできていなければ意味がいない、とお話ししましたが、この練習でよくある失敗例があります。

  1. 軸足の膝が内側に入っていないか(knee-in)
  2. 軸足の反対側の骨盤が落ちていないか
  3. 骨盤が投球方向を向いていないか

この3つのポイントを、チェックしてみてください。

これらは、同時に起こっていることが多いです。

簡単に解説します。

軸足に体重を残そうと意識すると、軸足の膝を内側に折るような動作(膝が内向く)をとることがあります。

これを、knee-inと言います。

  • 股関節の内旋
  • 骨盤の前傾
  • 大腿骨の頚体角
  • 前捻角

などの骨格により個人差がありますが、本来おおよそつま先の向きと膝の向きは一致します。

なぜ一致した方が良いかと言うと、そのポジションが最も力の発揮できるポジションだからです。

knee-inになると大腿骨が内転・内旋するので、結果的に反対側の骨盤は下がっていることになります。

反対側の骨盤が落ちていると言うことは、そこから伸びている足が早く落下する。

つまり、体重移動でステップするときに、前足が早く地面に接地すると言うことになります。

また、骨盤が投球方向を向くと大腿四頭筋優位になり、本来必要な臀部や内転筋、ハムストリングスを使うことができません。

ぜひ、以上の3点に注意して練習に取り組んでみてください。

軸足感覚はほとんどの人がある?

軸足感覚。

これを高めることは、野球選手にとって最も大切だと言っても、過言ではないと思います。

これは、意識下、無意識下問わずです。

例えば、「軸足なんて意識していない」と言うトップレベルの選手は、きっちり軸足感覚を持っています。

そう言う選手ほど、軸足感覚の練習や体の使い方を当たり前のようにやってのけます。

中には、ステップ足の使い方により、無意識下に軸足感覚を高める選手もいるでしょう。

もともと軸足感覚のある選手ほど軸足を意識せず、

  • 骨盤の使い方
  • 腕の使い方
  • その他もろもろの感覚

で、結果的に軸足感覚を高めているものです。

まとめ

私が指導を行う際は、あくまで軸足感覚を高める意味でこの練習に取り組んでもらいます。

  • 体の開きが早い
  • 前足への体重移動が早い
  • 肩や肘をケガする
  • 思うようにボールに力が伝わらない

このような選手は、この練習が苦手なケースが多いです。

正しく取り入れると、大変有効な練習になります。

ちなみに、同じような効果を狙うなら「スライドボード」なども有効ですね。

現在、ネットやSNSの普及で様々な情報を、簡単に入手できるようになりました。

ただ、その情報の断片だけを切り取って判断してしまったり、本質を見誤ってしまったり、正しく認知できなければ逆効果になることもあります。

指導を受ける側は、その指導や練習の「本質」や「意図」をしっかり考えるようにしましょう。

そして、指導者側こそ指導の本質、意図をはっきり持って伝えていただければと思います。

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この記事を書いた人森洋人森洋人
鹿児島県沖永良部島出身
鹿児島樟南高校で甲子園出場
京都市北区北野白梅町で、もり鍼灸整骨院を運営する傍ら、ピッチングラボを開設。
野球専門治療に始まり、ピッチングの指導を行う。
これまで全国3000人近くの選手や子供たちの指導に携わる。
ピッチングラボでは、野球で肩や肘を壊すことなく、長く野球を楽しんでもらうためのサポートをおこなっている。
MORIピッチングラボ代表
もり鍼灸整骨院 院長
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